平福獅子舞の特徴
獅子を演じる人数
大獅子「百足獅子(むかでじし)」
一頭の獅子を一人で演じるものを「一人立ち」、二人で演じるものを「二人立ち」と言いますが、平福の獅子舞は「百足獅子(むかでじし)」と呼ばれる形態の大獅子で、獅子の胴体部に大勢が入って舞う勇壮な獅子です。
獅子舞の系統
西の伎楽系・東の風流系
獅子舞はそれぞれの地域で独自の融合や発展をしていき、あらゆる流派が存在します。二つとして同じものはないと言われますが、日本の獅子舞には大きく分けて伎楽系(神楽系)と風流(ふりゅう)系の二つの系統があります。
伎楽系
胴幕に人が入り獅子頭を操りながら脚部を演じるもので「二人立ち」が多いですが、胴体部に二人以上入るものもあります。インドを起源とし中国を経て、7世紀初め頃に伎楽の一つとして伝来したと言われ、『日本書紀』にもその記述が見られます。本州中部以西の西南日本に主に分布しており、平福獅子舞はこの系統の流れを汲むものと思われます。
風流系
「一人立ち」で、獅子や鹿(しし)、龍などを模した頭(かしら)を頭に被り、腹にくくりつけた太鼓を両手に持ったバチで打ちながら舞う形態が主流で、三頭の獅子が登場する「三匹獅子舞」が一般的です。世末から近世初期にかけて成立した日本古来の楽舞であると言われています。関東・東北地方に主に分布しています。
獅子舞の道具
獅子頭
昭和4年頃買い替えられた。(割れた古い頭はしばらく練習用になっていたが今は失われた)一本の木_樫のような堅い木をくり抜いて作り、本漆を塗った古くて本格的なもので、激しい動きのためか、割れ目ができており、昔の人が素人で修理したらしく、頑丈なビスで2ヶ所留められています。獅子の胴幕は5〜6人入れる大きなもので、あずき色に牡丹の花が染め抜かれています。
太鼓
横笛・太鼓(小さい太鼓と締め太鼓)は獅子頭より古く、購入時期を覚えている人はいません。もっと昔には鐘もあったそうですが、早くに失われたようで、その事を覚えている人は1人のみです。
笛
笛・太鼓は楽譜がなく、全くの伝承で受け継がれてきました。笛は難しくて吹ける人は少なく、30年前にはただ1人でした。その方の笛は名人の域に達しており、正確である上に自由自在。練習に来て下さいと頼むと、「舞は自分で思うままに練習しとけばいい。それに合わせて吹いてやるから」との返事。実際、本番では肌脱ぎになって全部の笛を一人でりゅうりゅうと吹き、しかも大変舞い易かったとその迫力ある姿を皆一様に覚えています。その名手亡き後に笛の後継者がいなくなったのも、獅子舞中断の理由の一つでした。かつて妙法寺で名人の笛をテープに録音しましたが、残念ながらそのテープは現在失われてしまいました。(今回の復活には、玉野市八浜町波知獅子舞保存会の方に材料の竹の提供も受け、一から教えて頂き、楽譜も作りました。)